2016年07月27日

『武州通信』第232号

 シリア難民の大量流入でEU諸国が揺れています。“移動の自由”の理念にこれからどう向き合うのかな? イギリスではEU残留か離脱かを問う国民投票(6/23)が行なわれ離脱派が僅差で勝利し、近々EUからの離脱が実現しそうですね。それにここ3年ほど、EU諸国へのテロが頻発。 
 冷戦終結後、危険地域は中東周辺、準危険地域は東アジア周辺と見なされてきましたが、今では、安全なはずのヨーロッパにも火薬の臭いが…。もしかして第二次大戦後の枠組みがギシギシ音を立てて崩れ始めているのかも。

《18歳選挙権!》の巻
 
 何だか怪しげな時代の到来というと、来る11月8日に予定されているアメリカの大統領選挙もそのひとつのようですね。民主党のヒラリー・クリントン候補と共和党のドナルド・トランプ候補の(実質上の)一騎打ち。そして世界中の話題をさらっているのがトランプ候補の過激発言です。

 トランプ候補は「我々がやろうとしているのは『米国第一』だ。グローバリズムでなく、アメリカニズム(米国主義)がわれわれの信条になる」と繰り返し語り、TPPに反対し、移民受け入れを拒否すると宣言。こうした派手なパフォーマンスは現状に不満を持つさまざまな層に支持され、あれよあれよという間に遂に共和党の指名を獲得。もっとも、彼の差別的で挑発的な発言には共和党支持者の間にも反対する人が多いようですが、トランプ旋風にはアメリカの既成政治への批判が凝縮されていると言っても良さそうです。

 まあ、対岸の火事と見ている分には面白いとも言えますが、さて日本にも火の粉が舞い降りるとなると…。彼は、「米国が防衛する国々に相応の負担を求める」「日本は米国の軍事力に依拠するのではなく、核兵器の保有も含めて自衛隊の機能を強化し、自主防衛に舵を切ることが望ましい」と語り、更には「日本が米軍駐留経費の負担を大幅に増額しなければ在日米軍を撤退する」とまで主張しています。時代の流れは、我々日本国民にも日米関係に対する考え直しを迫っているように見えます。それはともかく、異端のトランプ氏と既成政治のクリントン氏、アメリカ国民はどちらの候補を次期大統領に選ぶのでしょうか?

 では、日本の現状は? 7月10日(日)の参議院選挙で、自民・公明の政権与党を中心に改憲勢力が3分の2に達し、いよいよ戦後初の“憲法改正”への動きが具体的になってきました。まさかトランプ氏の要請を真に受けたわけではないのでしょうが、期せずして憲法9条改正の道を歩むことになりそうな雰囲気ですね。ここでは僕の意見は差し控えることにしますが、何はともあれ、戦後の世界秩序が問われ、どうやら日本も急旋回しそうな気配です。

 ここまで、言わずもがなの事柄をくだくだ書き連ねてきましたが、これらの問題が若い世代に重苦しくのしかかってくるのは疑い得ないことでしょう。ところで、今回の参議院選挙は日本初の18歳からの選挙でもありました。長年20歳選挙権に慣れ親しんできた多くの国民には、なぜ今になって18歳から?という疑問が膨らみますが、まぁ早いうちから国政に関心をもつのも悪くないとも言えそうです。とは言え、政治家に対する不信感は拭い難く、舛添都知事の辞任劇(6/21)にも見られるように、政治家の選挙公約の美辞麗句がまったく嘘八百に響くのは、今も昔も。  

 僕が初めて投票に行ったのは…、えーと、衆議院選挙? 参議院選挙? もう東京に住んでいたから都議選? 都知事選? いやはや、まったく覚えていません。ましてや誰に投票したかなど、頭の片隅にも残っていない。とは言え、当時も政治家に対する不信感を抱き選挙にあまり期待していなかったのですが、それでも(今となって思えばちっぽけな世界観の中で)いろいろ考えて投票したことだけは確かです。

 さて、18歳選挙権。今年の武州の高校三年生・佐藤和海ちゃんの初めての投票、これがこの参議院選挙でした。しかも「投票日(7/10)が私の誕生日だったんですよ」と。なっ なんと、日本初の18歳選挙の当日がまさに和海ちゃんの18歳の誕生日だったとは…。こんな偶然ってなかなかないよね。これなら(僕の場合と違って)和海ちゃんにとって絶対に忘れられない選挙になったことでしょう。

 ところで、僕達が作ってきた日本は、世界は…。何とも心もとない限りです。何だか若い人達にすまない気分がふつふつと。もっとも僕がどうにかできる世界ではないのだけれど。                 

(斉藤 悦雄)

【インフォーメーション】
9月10日『武州大学』 7:00pm〜
   テーマ :『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』を考える。part 3
   レポート:斉藤悦雄
  ※関心のある方は是非参加してください。
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2016年04月09日

『武州通信』第231号

 花散らしの雨が通り過ぎ、弾かれたように様々な色彩が四方 八方に。どうやら、万物萌え出ずる季節がやって来たようです。 

《猫の絵、そして招き猫》の巻 

 「吾輩は猫である。名前はまだない。」この4月から朝日新聞で夏目漱石の『吾輩は猫である』の再連載が始まった。今年は漱石・没後100年に当たるのだそうです。猫といえば、高円寺に『猫の額(ひたい)』というまさに猫の額ほどの小さなギャラリーがあり、そこには猫をモチーフにした作品が所狭しと展示されています(ギャラリーだから「額(ひたい)」と「額(がく)」を掛けての「猫の額」なのかな?)。

 心地よく晴れた4月2日(土)、僕はそこに猫の絵を見に行ってきました。猫が好きだから? いや、特に好きなわけではありません(もちろん嫌いなわけでもありませんが…)。じゃあ、どうして? それはね、武州の卒業生の加藤ゆずちゃん(第24期生)の個展が開かれていたからです。ゆずちゃんは大学の造形芸術学部を出て更に大学院に進み、その後もたゆむことなく絵画の道を歩んでいます。

 「こねこ王の肖像」、どことなくゆずちゃんに似ています。思わず絵と本人を見比べてしまいました。左右の目の色が違うオッドアイ、その輝きがとても綺麗で、まるで宝石を見ているようにその目の中に吸い込まれてしまいそうです。それに、あの猫、この猫、すべての猫の柔毛(にこげ)がふわふわしていて、不思議な温もりが漂ってきます。しかも一枚一枚の猫のたたずまいがどれも何とも可愛いのです。まるで おとぎ話と現実がメビウスの輪のように表になったり裏になったりする世界と言ったら良いのかもしれません。これでは、猫好きな人は堪らないだろうなぁ、きっと。ギャラリーの店長さんは「加藤さんの絵にはたくさんのファンがついているんですよ」と。特に猫好きでもなく絵画に素人の僕でさえその言葉に思わず納得。僕もすっかりファンになってしまいました。
 ところで今回の個展のタイトルは『恋する窓辺』。ゆずちゃんは猫が主人公の同名の絵本(温かくもちょっと切ない物語)も書いています。

 どうやら猫は幸せを招くらしいですね。招き猫、右手で招くのは金運を招き、左手で招くのは人を招く、と。武州の片隅にも17年前に「武州ゼミナール20周年記念」として塾仲間から贈られた招き猫が一匹住んでいます。ところが、この猫、いつも両手を挙げてバンザイしていて(だから“両招き”といわれるのですが)、どう見ても“お手上げ”しているようにしか見えません。きっと、そんなに欲張るんじゃないよ、と僕を諭しているのでしょう。いやはや…。実際、金運のほうは一向にままならず。でも、どうやら人のほうは招いてくれているようです。今年度は、中学の教科書改訂の年で僕の手製のテキストも大改訂しなくてはならず、このところそれにかかりきりで、もうくたくた。でも、この日、武州のテキスト作りの疲れを、ゆずちゃんの猫の絵画でリフレッシュできたわけですから、やっぱり武州の猫は人招きが得意なんでしょうね。武州での疲れを武州の卒業生が癒してくれるって、なかなかいい感じでしょう?

 こうして、あまり起伏に富むとは言えない僕の人生に、一陣の楽しい風を送ってくれるのは卒業生です。今回も一通の案内状から、普段はなかなか会えないゆずちゃんと語り合うことができました。このように卒業生のその後の軌跡や成長を感じられるのは僕にとって最高の喜びです。素敵な猫の絵に感動しながら、なぜかそんな取り止めのない想いが胸中に浮かんでくるのです。

 ところで、ゆずちゃんとの再会を招いてくれた武州の猫も、漱石の猫と同じく「名前はまだない」。猫ちゃんゴメン、そのうち名前をつけてやるよ。
 
(斉藤 悦雄)

【インフォーメーション】
4月23日『武州大学』 7:00pm〜
   テーマ :幕末、江戸幕府の対外外交
   レポート:竹内秀夫さん
5月 7日『武州大学』 7:00pm〜
   テーマ :真の『積極的平和主義』とは何か
   レポート:吉岡志朗さん

  ※関心のある方は是非参加してください。
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2016年03月18日

『武州通信』第230号

 「花笑み」、今にも蕾がほころんで笑いかけそうな麗らかな季節。桜の枝先では緑の蕾が“早く咲きたいなぁ”と心待ちの様子。   
 そして卒業の候。「卒業」、これも蕾から花への“花笑み”なのでしょうか? ふとそんな気がしてきます。

《「知らない」ではすまされないマイナンバー制度》の巻

 僕の公的氏名は「×××× ×××× ××××」番、12桁の数字? 何だか囚人になったみたい。

 いよいよマイナンバー(社会保障・税番号)制度が始まりました。マイナンバーは赤ちゃんからお年寄りまで住民登録をしている全員に番号をつける制度です。そして働いている人(アルバイトであっても外国人であっても…)は、勤務先に自分のナンバーを提出しなければならなくなります。こんなに生活に密着している制度なのに、これまで“何がどうなっているのか”僕にはちっとも理解できませんでした。

 そこで、3月5日(土)の『オアシス武州』では、勤務先でマイナンバー制度について担当されている清水智徳さんに『「知らない」ではすまされないマイナンバー制度』と題してお話していただきました。清水さんはプロジェクターを駆使し、「マイナンバーとは何か?」から「理解度チェック」まで16項目にわたって懇切丁寧に説明してくれました。お陰様でこれまで曖昧だったことがずいぶん理解できるようになった気がします(清水さんに感謝!)。とはいえ、内容は複雑すぎて具体的には書けませんが、ともかく面倒なことが一杯で頭が爆発しそうです。

 マイナンバーの目的は、➀効率的な情報の管理、利用及び迅速な情報の授受、➁国民の負担の軽減、です。本当かなぁ。 確かに行政にとっては国民を一括管理するのに都合のいいシステムかもしれませんが、では国民の負担が軽減するのかというと、ちょっと首を傾げたくなります。おそらく税処理や社会保障の手続き自体は簡単になるのでしょうが、マイナンバーを安全に管理・運用するには、それに伴うさまざまな厄介事を抱え込むことになりそうです。

 事業者(企業)は、たとえば武州ゼミナールのような小さな個人事業でも、アルバイトを含む従業員やその扶養家族のマイナンバーを取得せねばならず、その管理を厳重にしなければならなくなります。最近、金庫がずいぶん売れているようですが、それは、従業員のマイナンバーの取り扱い(これについてもかなり煩わしい注文が出されています)に対する行政の縛りのきつさが影響しているに違いありません。またマイナンバー法に違反した場合にはかなり厳しい罰則も規定されています。まぁ、このように厳重にしないとマイナンバーの漏洩・流失の危険性があるのですから仕方ないのですが…。

 清水さんは「システムは完璧だけれど、流出などの問題は人間側のミスが原因だ」と言います。その通りですね。ところが、その完璧なはずのシステムは(完璧であればあるほど)人間のミスを誘発するようにできているとも言えそうです。もっとも悪意を持って情報を流出・利用する人は論外としても、普段は普通に生活できている人でも“うっかりミス”を犯してしまいそうです。それが機械ならぬ人間というものでしょう。何だか前号の高校入試の採点ミスが二重写しになってきます。昨日の新聞でも「マイナンバーの紛失や流失が相次いでいる。勤め先での管理がずさんで、本社に送ったカードをなくされたケースもあった」(朝日新聞)と報道されています。

 お話の最後に「理解度チェック」をみんなでわいわいがやがや楽しく語らいながらやったのですが、これがまた難しく、なかなか合格点に達しないのです。たった今、清水さんから教えてもらったのに、です。いや、清水さんの説明が足りなかったからではありませんよ。清水さんの説明は完璧だったのですが、このシステムがあまりにも煩雑すぎるのです。また、たとえ理解できてもミスせず生活できるかというと…、うーん、自信ないなぁ。確かに「知らないではすまされない」マイナンバーですが、むしろ「知るのも困難」「知ってもすまされない」のがマイナンバーなのかもしれませんね。
 僕がこんな危惧を抱いても、時間が経てば慣れっこになって少しは落ち着いてくるのでしょうか? それとも問題頻発で…?

 何はともあれ、今年の1月から僕も貴方も、公的氏名は、自分で選べないマイナンバー「×××× ×××× ××××」番、12桁の数字。    

(斉藤 悦雄)

【インフォーメーション】
  4月23日『武州大学』  7:00pm〜
  テーマ :幕末、江戸幕府の対外外交
  レポート:竹内秀夫さん

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