2016年10月03日

『武州通信』第234号

月がまた一つ終わった。今年はなかなか一気に秋にはならず、クーラーを使う日々も。それでも、先日教室の片隅に“こおろぎ”が一匹。どうやら、静かなる溶暗を思わせる秋が訪れたようです。遅れても来ないよりはまし? 金木犀の芳醇な香りが漂っています。

富さんの《地方創生の現場から》の巻

 「富さん」そして「お富」、中には「能成(よしなり)」と呼び捨てする不届き者も(まぁ、それだけ親しまれていたことの証ですが…)、30年ほど前、武州で先生をしていただいた富田能成さんのことです。その富さんは大学生の頃一年休学して、世界一周旅行をしたのです。当時の生徒達はというと、旅先から送られてくる絵葉書を楽しみに「富さんからの手紙まだぁ?」と心待ちにしていたものです。そして大学を卒業してからの彼は何故か銀行員に。だから教え子達は、「富さん銀行員? 何だか似合わないね」とか「お富は冒険家になると思っていたよ」と。そんな教え子達の言葉に、富さんは常々「銀行員は仮の姿、そのうちに…」と、たじたじ?

 さて、長い銀行員生活を経て、念願の故郷、埼玉県横瀬町へ。町議会議員を勤めて、昨年1月、晴れて横瀬町の町長さんに…。いよいよ本領発揮というところでしょうか? そこで、9月24日の『オアシス武州』は、いま話題になっている地方創生について富さんに話していただくことにしました。僕は東京暮らしに慣れきってしまったためか、これまで「地方創生」と耳にしてもあまりピンとこなかったのですが、富さんのお話を聴いて地方自治の現実や地方創生の難しさが少しは理解できたような気がします。

 横瀬町は人口約8600人(世帯数約3300)の緑豊かな小さな町です。でも25年後には人口5000人を割ると予想され、人口減少はとても大きな悩みの種です。しかし人口の自然増加はそう簡単にはいきませんよね。そこで、外から引っ越してきてもらい、内からは引っ越されない対策が重要になります。それにはやはり魅力のある町作りが急務ですよね。富さんは開口一番「皆さんは横瀬町って聞いたことありますか?」と…。参加者一同シーン。「そうですよね。知りませんよね。ハハハ…」。何しろ知名度が低い。「何はともあれ、町を知ってもらい、外部から多くの人に来てもらうことが先決です」と。そして、企業を誘致するにしても過当競争で、基礎体力がないことには正面からこれに参入するのは難しいらしい。そこで…、富さんは考えた。この9月30日に、国からの補助金2700万円を得て、リクルートホールディングスをパートナーに、廃校になった小学校を利用して、『よこらぼ(横瀬町とコラボする研究所)』を立ち上げることに(立ち上げの様子は『埼玉新聞』・『東京新聞』埼玉版・『日経新聞』埼玉版で報道されました)。それは、地方創生をビジネスチャンスだと考える若手起業家や大学や研究所を町に呼び込む、そして『よこらぼ』の発想を梃子に大企業も呼び込む、という作戦です。何だか面白そうですね。日本初の試み、富さんの攻めの姿勢がここに見えます。これが成功すれば住民にも張り合いが出るし、町もずいぶん活気づくことでしょう。乞うご期待!

 今、国を挙げて地方創生が叫ばれていますが、それは麻薬のようなもので、成果が出なければ補助金カットで衰退する自治体はたくさん出る、との予想も。「だから補助金をもらえている今がチャンス。この間に町の体力をつけることが不可欠だ」と言います。富さんは『よこらぼ』のほかにも、「子育て環境の充実」や、「外部からのイベントや映画のロケの導入」などいろいろと考案しています。やらねばならないことが山積みですね。

 横瀬町は東京から近く(池袋から西武線で74分ほど)、田舎に住みつつ時には東京に遊びに行く、というライフスタイルもできます。横瀬駅は特急も止まるので、知名度が上がれば充分可能性はありそうです。また、武甲山を背景に寺坂棚田が広がり、冬は「氷柱」、夏は「ほたるかがり火まつり」秋には「彼岸花まつり」などが開催され、観光的にも更なる期待が膨らみます。どうやら横瀬町にはまだ宝石の原石がたくさん埋まっていそうですね。その原石をどう輝かせるか、富さんの“冒険?第二章”の始まりです。富田町長、頑張れ!

 いま地方の行政や議員に疑惑の目が向けられていますが、真の冒険家は慎重なもの、僕は何だか富さんの中に “慎重で果敢な真の冒険家の姿” を垣間見たような気がして「素敵な町になりそうだな?」と思い始めています。どうやら僕にとっても地方創生を考える具体的な場所ができたような…。富さんの横瀬町、それが僕が考えるための拠点です。そして横瀬町を陰ながら力一杯応援したいと思っています。皆さんも是非富さんの横瀬町を応援して下さい。

(斉藤 悦雄)

【インフォーメーション】
10月29日『武州野外大学』 10:00am 山手線『目白駅』改札口集合(雨天決行)
   テーマ:『落合』探索 〜 乙女山の彼方へ 〜
   引率 : 紺野正さん
  ※関心のある方は是非参加してください。
posted by 武州ゼミナール at 00:00| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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