2016年01月04日

『武州通信』第228号


 明けましておめでとうございます、…と書きながら、少しも新しさが感じられないから困ってしまう。歳ですかねぇ。
 それにしても、今年は暖かいお正月。天気予報では今日は3月から4月並の気温だとか。やっぱりお正月とは思えない年の幕開けですね。

《だらだらとお正月》の巻 

 いくらなんでもそろそろ武州通信を書かなくては? と、昨年末から考えていたけれど、一向に内容も定まらず、気持ちがちっともそちらに向かうことなく正月を迎えることとなった。これって結構辛いものがあって、やらねばならないことがあるのに少しも先に進まない、その結果だらだらと時間だけが過ぎてゆく。 

 1月2日、パソコンに向かいつつ、腕を組んで考えている振りをして、実は何も考えていない自分…。あぁーもう止めた。ついには逃げろや逃げろ、と逃げの一手。ソファーに寝転び、又吉直樹の『火花』を一気に読む。
 昨年の第153回の芥川賞は又吉直樹の『火花』と羽田圭介の『スクラップ・アンド・ビルド』のW受賞、直木賞は東山彰良の『流』。

 さて、お笑いコンビ“ピース”の又吉直樹の『火花』は受賞以来売り上げ160万部突破だという。160万部? それを聞いただけでもへそ曲りの僕は買う気が失せる。じゃぁ、どうして読んだの? それはね …、大晦日に卒業生の愛ちゃん(第15期生)が久し振りに武州に顔を見せ、話が弾むなかで「これすごく良かったよ。読んでみます?」と。それが『火花』。僕は、この本が気にいらないからではなく、ただへそ曲りだから買わないわけで、こういうチャンスが訪れると、即座に「うん、読む読む」と二つ返事で借りることになる。

 僕はお笑い番組は苦手である。みんながゲラゲラ笑っていてもちっとも面白くない。いや、たまには思わず微笑んでしまうものもあるにはあるけれど…。何かといえば裸になり、変顔をし、言葉にならない言葉を捲し立て、何でもいいから笑いを取ろうとするあの浅ましい姿は何故かいじましく悲しくさえなる。ともかく何が言いたいのか僕にはさっぱり分からないのである。そのお笑い芸人の又吉君が芥川賞? 気にならないわけがない。 

 さて『火花』― ひとを笑わせることに命を賭けている、その姿だけはひしひしと伝わってくる。なるほど、こうして しのぎを削って寝ても覚めても笑いのネタを考えているんだね。まぁ、それがどうした、と思わないわけでもないけれど、そう言っているだけでは済まされない気分がもくもくと湧き上がってくるのである。僕にそんな必死さがあるのだろうか?と。ないなぁ、やっぱり。自分に興味がないことでも必死で生きている人を侮ってはならないのである。何かに人生を賭けられるのは素敵なことに違いない。そうは思ってみても、僕はお笑い番組はやっぱり苦手である。こうした矛盾した気持ちを際立たせるのが僕にとっての『火花』であった。

 こんな偉そうなことを書きながら、お前に『火花』を超える文章が書けるのか?と言われれば、とっ、とんでもない。こんなつまらない『武州通信』でお茶を濁しているではないか。芥川賞を舐(な)めんなよ、だ。 

 1月3日、酔った頭で、だらだら過ごした正月を苦々しく反省しつつ、又吉君に刺激され、もたもたと『武州通信』に向かう。
 武州の事務室、いや喫煙室にはデザイナーである先の卒業生・愛ちゃんからの贈り物・2016年の「カレンダー」が新年を彩っている。彼女から毎年いただいているカレンダーだが、1月は新品、12月になると煙草の煙で茶色に変わるのが何とも悲しい。この美しいカレンダーもそうなることは請け合いである。何だか愛ちゃんに申し訳ないなぁと思いつつ、感謝の思いをこめて真新しい暦に魅入る。

 そして、1月4日、いよいよ冬期講習の後半の授業が始まる。だらだら過ごすのは昨日まで。今日からは僕も命を賭けての授業なのだ。お前はもう歳だから無理するな?ですと。何をおっしゃる。生徒には真剣に向き合うのが最低限の礼儀なのだ。僕にとって最も大切にすべき相手はほかならぬ目の前の生徒達なのだから。
 さてと、まだまだ『火花』に負けず、今年も命の“火花”を輝かせることにしよう。

(斉藤 悦雄)

【インフォーメーション】
 2月20日『武州大学』 7:00pm 〜
  テーマ :司馬遼太郎の歴史小説の背景
       〜『歴史のなかの邂逅』などから背景を探る〜
  レポート:田口雄一郎さん
 3月5日『オアシス武州』 7:00pm 〜
  テーマ :「知らない」ではすまされない『マイナンバー制度』
  お話  :清水智徳さん
    ※関心のある方は是非参加してください。
posted by 武州ゼミナール at 00:00| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。